home >コラム > アルコールストーブ誕生秘話
【TrinityONE】
FREELIGHTでは3種類の個性的なアルコールストーブを販売しています。
一番最初に販売開始したTrinityONEを作ろうと思ったきっかけは、南米にトレッキングに行った時のことでした。
単独では入れない場所だったのでツアーに参加して歩いたのですが、歩きだしてから数日後、気が付いたら持参したアルコールストーブがバラバラになっていました。
このとき持参したのは空き缶を使った自作アルコールストーブ。
数人でチームを組んで行動するのですが疲れてくるとみんなだんだん持ち物に気を使えなくなってきます。
そんな状態で数日過ごした夕方です。
気が付くとそのアルコールストーブはグッシャリと潰れていました。
誰かは分かりませんがテーブルの上のストーブに気が付かなかったのだと思います。
残念なことにこの時はそれ以降お湯を沸かすことができなくなました。
その教訓から【少しぐらい踏んづけても使えるようなストーブは作れないか?】と考え、そのアイデアから生み出されたのがTrinityONEです。
しかしただ丈夫なだけではおもしろくない。
丈夫で燃費のいいストーブを作りたいと考え、今となってはアウトドアで当たり前のように使われているカーボンフェルト、これを私たちが世界で初めてアルコールストーブに使用し、その形状を灯油ストーブの燃焼筒のような形状にして燃焼効率が上がるようにしたのです。
構造もアルコール受けの皿とステンレスの網、そして小さなカーボンフェルトだけなので、もし踏みつけられても石などで叩いて成型さえ出来ればまた使うことができます。
五徳となるウェルドワイヤースタンドを外すと12gほどととても軽く、丈夫さの面でもダントツです。シンプルな構造なので誰でも簡単に使うことができます。
簡単に使えてシンプルな構造が好みというお客様、また過酷な環境に持っていくことが多い、というお客様にTrinity ONEが最適のモデルと言えるでしょう。
【FREVO-R STOVE】
FREVO-R STOVEは全く違った方向から開発されました。
以前からFREELIGHTに協力してくださっている方々より、新しい機能を盛り込んだストーブが出来たら見てほしい、というお話をいただきこのストーブと出会ったのです。
1番の特徴は立ち上がりの燃焼の速さです。
従来のアルコールガスを噴射する形式のアルコールストーブは、アルコール自体が沸騰し気化したガスが噴射し燃焼するまで時間がかかるものでした。
しかしこのFREVOは全く違うアプローチでアルコールガスを作るのであっという間に燃え上がります。
そして炎は渦を巻く小さな竜巻のように燃え上がります。
この高性能ゆえ海外のメーカーにその技術や設計図面を搾取されたこともありましたが更なる改良によって現在もこの構造のストーブとしてはFREVO-Rが一番高性能なストーブと言えると思います。
アウトドア系のwebsiteでのストーブ比較実験(※)でも一位に輝きました。
私は、ゆっくり静かにお茶を飲む、またUL-600HRで炊飯する、などいろいろなシーンでFREVO-Rを使いますが螺旋状に美しく燃える炎を眺めているだけで心が落ち着きます。
扱いやすさ、燃費、そして美しさなど一番バランスの取れた優秀なストーブがFREVO-Rと言えるでしょう。
【BLAST STOVE】
BLAST STOVEは、このFREVO-Rを持って長距離のトレッキングしている時に【もっと燃費が良くできないか?】という思いから生まれたストーブです。
二人で12日間無補給で歩くルートを計画だったのですが、持参する燃料を1Lとしたので1日80cc程度の燃料となりました。
長く歩かれる人はそんなの普通と思うかもしれませんが、私たちはアウトドアメーカーです。
『困ったことがあれば作ればいい!』もっと燃費の良いストーブを作ろうと考えたのです。
しかし、すでにあるアルコールストーブの燃焼理論では飛躍的に燃費を伸ばすことはできないのを私たちは知っています。
そこで全く違ったアプローチでストーブを開発しました。
通常燃焼するアルコールガスは沸騰したアルコールにより作り出され、それに火をつける形で燃えるのですがそれでは炎が広範囲に広がり無駄になるアルコールも多いのです。
いくらFREVO-Rが炎の収束がいいとしても、POTの側面まで炎は周ります。
そこでガスストーブと同じ構造を取り入れられないかとと考え、生み出されたガスを小さな穴から圧をかけて噴射させ、空気中の酸素に混ぜて一気に燃焼させることを試みました。
小型でありながらこのような構造のストーブは他にはあまりなく、製造には試行錯誤がありましたが噴射されたガスは対象物を効果的に温めることができるようになり、今までアルコールストーブにはなかった燃焼音も出すことができました。
そして求めた燃費も30ccあれば1L以上のお湯を沸かすことを可能としたのです。
反面、その加圧状況を作るためにどうしても構造が複雑になり【取り扱いに注意が必要なストーブ】となりました。
無骨なデザインとガスストーブのような燃焼音。そして使用の際はコツが必要と、BLAST STOVEはまさに玄人向けの製品と言えるでしょう。
>TrinityONE詳細はこちら
>FREVO-R詳細はこちら
>BLAST STOVE詳細はこちら
※[BEST BUY GEAR]での比較記事はこちら